マイルス・デイヴィス・オールスターズ VOL.1 ( BLP 1501 : Miles Davis Volume 1 )

Miles Davis Volume 1 ( BLP 1501 )

Miles Davis Volume 1 ( BLP 1501 )
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邦題『マイルス・デイヴィス・オールスターズ VOL.1』は、1956年にブルーノートからリリースされた、マイルス・デイヴィスのアルバム。
録音は1952年〜1954年。

マイルスのヘロイン常習時代の録音

当時、マイルスはヘロイン漬けの真っ只中で、まともな日常生活も送れない状態だった。
薬のために借金や質入れをして、演奏時に友人からトランペットを借りていたことも。
前年に録音された「DIG」のアルバムジャケット撮影時では、着るスーツがなくて友人から借りたのでサイズが合っていなかったという。
そこまで生活が困窮するほどヘロインに蝕まれていたようだ。
このアルバムのレコーディング時も、直前に売人からヘロインを買って、ハイになりながら演奏をしていたと語っている。
ドラムのアート・ブレイキーやJay Jay・ジョンソンも一緒にハイになっていたというので、メンバー構成から推察するに、1953年の時点でもヘロインを常用していたようである。

演奏は素晴らしい

「Vol.1」の録音は1952〜53年で、マイルスの薬物中毒期にあたるが、演奏は素晴らしく聴きごたえがある。
特に、「03.エニグマ ( Enigma ) 」「05.ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン ( How Deep Is the Ocean? ) 」は、マイルスの真骨頂であるバラード。
ゆったりと存分にのびのびとした彼の歌を堪能できる。
両曲とも、ほぼ全編マイルスのソロ。
マイルスの演奏は一音一音、明確な感情と意図がある。単なるトランペットの音ではなく、言葉が聞こえるようだ。
彼でなければ5分近い曲を全部聴かせられないだろう。

アップテンポの1、2、4、6曲目も楽しく、ドラムに聴きごたえがある。
特に「 01.テンパス・フュージット ( Tempus Fugit ) 」のドラムがヤバすぎる。
ブレイキー演奏には多彩なものが多いので、彼が演奏しているアルバムをついつい追いたくなる。

1956年発売の「Vol.1」「Vol.2」は再編集盤

1954年にマイルスは2つのアルバムをヒットさせている。
ヘロイン中毒から立ち直り録音した「ウォーキン」と、先に録音していた「クールの誕生」である。
2つのアルバムでマイルスは確固たる地位と人気を得ることとなる。

その後、ブルーノートでは12インチ・レコードをリリースすることになり、最初の2枚がマイルス・デイヴィスのアルバムに決まる。
そして1956年に「Vol.1」「Vol.2」が発売されるが、いずれのアルバムも、
「Young Man with a Horn」(1952)
「Miles Davis Volume 2」(1953)
「Miles Davis Volume 3」(1954)
この3つのアルバムの録音セッションから選曲され、収録されている。

Tracklist

01.テンパス・フュージット (MONO)
02.ケロ (MONO)
03.エニグマ (MONO)
04.レイズ・アイディア (MONO)
05.ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン (MONO)
06.C.T.A. (別テイク) (MONO)
07.ディア・オールド・ストックホルム (MONO)
08.チャンス・イット (MONO)
09.イエスタデイズ (MONO)
10.ドナ (別テイク) (MONO)
11.C.T.A. (MONO)
12.ウディン・ユー (別テイク) (MONO)
13.チャンス・イット (別テイク) (MONO) (ボーナス・トラック)
14.ケロ (別テイク) (MONO) (ボーナス・トラック)
15.エニグマ (別テイク) (MONO) (ボーナス・トラック)

参考文献

21世紀版ブルーノート・ブック 史上最強のジャズ・レーベルのすべて (ジャズ批評ブックス) [ ジャズ批評編集部 ]

マイルス・デイヴィス自伝 [ マイルズ・デューイ・デーヴィス ]

 

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