ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.1 ( BLP 1503 : The Amazing Bud Powell l, Vol. 1 )

The Amazing Bud Powell l, Vol. 1 ( BLP 1503 )

ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.1、 BLP 1503 - The Amazing Bud Powell l, Vol. 1

邦題『ジ・アメイジング・バド・パウエル VOL.1』は、1956年にブルーノートからリリースされた、バド・パウエルのアルバム。
録音は1949年〜1951年。

1956年発売の「Vol.1」は再編集盤

このアルバムは先に10インチでリリースされたアルバムのセッションから選曲された再編集盤である。
4、5、9、10、11が、1949年のファッツ・ナバロとのアルバムでのセッション。
それ以外が、1952年リリースの「The Amazing Bud Powell」(BLP 5003)でのセッションの曲。
それぞれのセッションから別テイクも収録されていて、興味深い選曲になっている。

注目はアフロ・キューバン・ジャズの曲「ウン・ポコ・ローコ(Un Poco Loco)」

このアルバムでの注目曲は、1〜3曲目の「ウン・ポコ・ローコ(Un Poco Loco)」。
普通は「同じ曲が3回連続で聴いても飽きるのでは?」と思うところだが、
これが飽きずに興味深く聴ける。
理由は、曲の進化の過程が面白いように理解できるからだ。

「take.1」は、あまり本番という意識がない「手合わせ」程度なのか、
全体的にラフな演奏。
そのためか、リラックスした雰囲気と、色々な方向を試している印象がある。
曲の終わりは何か問題があって中止したようだ。

「take.2」はイントロから演奏の方向性が固まっていて自信が見てとれる。
ところどころギクシャクしたり、走り過ぎている箇所があるが、同時にダイナミックでスリリングな雰囲気もかもしている。

「take.3」は完成形なので、イントロから最後までとても安心して聴ける。
ドラムもピアノも前テイクから格段に進化していて格好良くて聴きごたえがある。
ドラム、ベース、ピアノのグルーブとハーモニーが味わい深い。

この選曲がスゴい!

1956年のリリース時に(1〜3局目の)この選曲・曲順になっていたのは驚きだ。
現在のジャズ・マニアも納得・満足な選曲で、プロデューサーの的確なセンスに驚かされる。
ブルーノートのアルフレッド・ライオンのジャズに対する理解の深さが実感できる。

当時のアメリカは黒人に対する差別が強く、ジャズも「黒人の音楽」として「格下の音楽」と見られていた。
黒人が演奏するアルバムは無視されて、白人が演奏する「ジャズもどき」は絶賛される、ということも多々あった。

そのような時代での、アルフレッド・ライオンのジャズに対する姿勢には、敬意と尊敬の念に堪えない。

バド・パウエルの演奏がスゴい!

バド・パウエルのピアノが堪能できる、1〜3、6〜8、12が、特に聴きごたえがある。
パウエルのピアノは装飾音が多く、素人には「何をやっているのかよくわからないが、とにかくスゴい」という印象だ。
しかし、野生の小鳥のさえずりのように耳に心地よく、長時間聴いても疲れません。

同じ装飾音が多いピアニストのオスカー・ピターソンは「ド派手」で、「ナイアガラの滝」という雰囲気だが、
バド・パウエルは、「爽やか」で、「華厳の滝」か「称名滝」な感じだ。
これが的確な比喩かどうかはわからないが、個人的に彼の演奏はとても日本人好みだと思う。

Tracklist

01. ウン・ポコ・ロコ (別テイク1) (MONO)
02. ウン・ポコ・ロコ (別テイク2) (MONO)
03. ウン・ポコ・ロコ (MONO)
04. 異教徒たちの踊り (MONO)
05. 52丁目のテーマ (MONO)
06. イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー (別テイク) (MONO)
07. チュニジアの夜 (別テイク) (MONO)
08. チュニジアの夜 (MONO)
09. ウェイル (MONO)
10. オーニソロジー (MONO)
11. バウンシング・ウィズ・バド (MONO)
12. パリジャン・ソロフェア (MONO)
.
〜〜〜ここまでが、1956年当時のアルバムの曲。
これ以降が、CDのボーナストラック〜〜〜
.
13. バウンシング・ウィズ・バド (別テイク1) (MONO) (ボーナス・トラック)
14. バウンシング・ウィズ・バド (別テイク2) (MONO) (ボーナス・トラック)
15. ウェイル (別テイク) (MONO) (ボーナス・トラック)
16. 異教徒たちの踊り (別テイク) (MONO) (ボーナス・トラック)
17. ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド (MONO) (ボーナス・トラック)
18. オーニソロジー (別テイク) (MONO) (ボーナス・トラック)
19. 虹の彼方に (MONO) (ボーナス・トラック)
20. イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー (MONO) (ボーナス・トラック)

参考文献

21世紀版ブルーノート・ブック 史上最強のジャズ・レーベルのすべて (ジャズ批評ブックス) [ ジャズ批評編集部 ]


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください